相手は投影でも鏡でもない。

よく心理学を勉強していると投影という言葉が出てきます。

この言葉はもともとフロイトという精神科医が100年程前に提唱したものです。

すごくざっくりいうと、

人には、

超自我という親から受け継いだ理性的・批判的な自分、

イドという根源的欲求であり性の欲動をもつ自分

それを調整する自我という大人な自分

という3つの自我(自分)があって、

大人な過度なストレスがかかった時に、

自我が自分のこころの安定を保つために無意識的にすることが、

「防衛機制」と言われるもので、これがある為にわたしたちの心の平穏が保たれてると、

何やら難しいですが、フロイトさんは考えたわけです。

投影とは、自分の心の平穏を保つための一つ。

投影

さて、前置きが長くなりましたが(^^;

「投影」とは、この防衛機制の働きの一つです。

人は鏡である。という言葉があるように、

自分の心の状態を相手に映すのです。

どんなことを映し出すのかというと、

自分の望ましくないことや受け入れたくないこと相手の中に映すのです。

それを受け入れちゃうと心が耐えきれないからです。

ちょっと例を二つ挙げて説明しましょう。

◆例1◆

相手が大雑把な性格で、それをあなたが嫌いだと感じているとします。

これは、あなたの中に大雑把な部分があって、それを受け入れられず、

私が抑え込んできたのに、何をいけしゃしゃ~と大雑把なことをしているのだと、

だからイライラして嫌いだと感じるのです。

あの人が嫌なのは、私の中の大雑把な部分を受け入れられないからなのです。

◆例2◆

「友人Aさんは、私のこと嫌いなんだよ。」

っていう友だちに対して、「いやいやそんなことないよ!私そんなこと聞いたことないよ。」

っていくらいっても、

「いやいや、だって私を見る目が怖いもの…。」

と言って引かなかったりします。

この時、その方の心の中では、毎日会う人を嫌いだ嫌だなって、

そう思うだけでストレスですし、そんなに人のことを嫌いになるという自分を受け入れられず、

無意識的に、相手が私を嫌いなんだ!と思うことで、こころの安定を保とうとする。

これも「投影」です。

簡単にいうと、
「いやいや友人Aさんがあなたのことを嫌いなんじゃなくて、あなたがAさんを嫌いなんでしょ。」
ということです。

さてさて、この理論通りにいけば、人間関係は鏡ですから、

何かイラッとしたり、嫌だなと感じた時は、

それは相手が悪いんじゃなくて、相手に自分の心を映しているに過ぎないんだよ。

っていうことになります。

でも、全て投影じゃないよね。

でもでも、すべて投影じゃありません。

そんなに世の中あなたの心の中をすべて映しているわけじゃありません。

たしかに、自分の中に抑えつけていたり、

受け入れられないところに気づく一つの助けになります。

でもでも、この考えに染まってしまうと、

苦しくなっちゃいます。

人生修行です。

嫌いな人、嫌だなって思うこと、イラッとすること、

悲しみを抱えること、色んな気持ちを僕たちは相手に見ていると考えると、

さぁ、大変です。

例えば恋人の何気ない一言にイラッとしたりするのは、

恋人が悪いんじゃなくて、本当は自分もそうしたい気持ちがあったり、

抑えている気持ちがるのにイラッとするんだと、

そんなことを考えなくてはいけません。

たしかに、それ一理あります。

相手を通して、自分を省みる。これ大切。

でも、そんなことずっとやってたら、

純粋に怒れなくなっちゃう。

これも投影なのかな?って。

だから、そうならない為にも、

そういう時は、心を映し出している時もある。

程度に考えるといいと思います。

というのも…。

それはあなたの問題じゃない。

問題というのは、そもそも次の2つに分かれます。

①自分の問題 ②相手の問題

①は、自分”が”問題を抱えるケースや、自分”が”問題だと捉えることで解決することです。

②は、相手”が”問題を抱えてるケース。相手の問題であって、あなたの問題ではなく、
あなたが取り組んでも仕方がないケースです。

この①と②を混合させちゃうと苦しくなります。

自分の問題じゃないことなんて沢山あります。

イライラしていて、何でお前はいつもこうなんだ!って、

八つ当たりされても、あなたは何も悪くありません。

相手の問題ですね。

あなたの○○という性格が気に入らないの!

だから直しなさいよ!と言われても、

それはあなたの問題ではありませんよね。

気に入らないのは、相手の問題であって、

あなたの問題でないのです。

(あなた自身がその○○な自分が嫌だと感じているなら別です。)

このように、自分の問題じゃないことなんてざらにあるのです。

でも、投影という言葉を学ぶと、

すべての出来事が自分の中のテーマが相手に映っているんだと、

そう考えてしまう方がいます。

それで、すべてうまくいっていればそのままでいいと思います。

そして、もしそれで行き詰まりを感じたり苦しくなったりしたら、

投影とうい考え方はいったん捨てちゃいましょう~。

ただの考え方なのですから。役に立たなかったらポイしてもいいのです。

大切なのは、知識ではなくて結局それがあなたに役に立つことなの?

ということですからね。

最後に、この投影という考え方が発展して、

相手は鏡で、相手はあなたの心の中の○○な部分を見せてくれるために現れたんだよ。

本当はそんな役割をしたくないけど、あなたの○○な部分を見せて成長させようとしてくれている。

といったことを言う方がいますが、

そんなことってないと僕は思っています。(^^;

世界の中心は自分じゃない…し、

相手はあなたの為に現れたわけでもない…し、

それぞれが自分の人生を一生懸命生きている…し、

現れたのもただ袖がふれあっただけのことだ…と、

そう感じます。

著者プロフィール

野川 仁
野川 仁
元引きこもりの心理カウンセラー。現在はカウンセリングをしつつ、講師としも、毎週(土)講義を行ってる。目指すは、「記憶に残らないカウンセラー」。カウンセラーのおかげより、自分の力で前に進めた実感を持ってもらうべく、日々奮闘中。理想への道のりはまだまだ長い!