「夫婦の絆。」
あるご夫婦のお話。
旦那様があることで借金をし、
奥様はそれにとてもショックを受け、
深く傷つきました。
その姿を見た旦那様は、
ことの重大さを改めて痛感し、
ぎゅっと拳を握り、
姿勢を正し、
その顔は自責や罪悪感の念でいっぱいだ。
でもこの二人には希望がありました。
奥様は支えるという選択をしたのです。
そこから二人は、多くを話し合い、
これまで自分のことをあまり話さなかった旦那様は、
自分のことをよく話すようになり、
気持ちを知る機会が増えた奥様は、
それより少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
でも、旦那様を支えるその裏には、
秘めた思いがありました。
当然、奥様も相当辛い思いを持っている。
でも旦那様がこういう状態だから、
これ以上責めることなんて出来なかった。
ましてや自分の辛さをこれ以上言葉にすることなど出来なかった。
だからその気持ちを心の奥にしまって、
なんとか旦那様を支えてきました。
そしていつしか旦那様の心が軽くなってきた時、
その心の奥にしまっていた気持ちが騒ぎだしました。
幸いにもそれを旦那様が気づき、
こんなことを語ってくれたのです。
「今日は、僕の相談ではなく妻のことで、最近ちょっと転職して辛そうなんです。今日は妻のお話でもいいでしょうか。」
「もちろんです。ご夫婦の時間ですからね。」
「奥様、旦那様がこういっていますが、奥様は自身の話で今日は大丈夫です?」
「はい。」
「何があったんですか?話しづらいかも知れませんが教えて頂けますか。」
そう質問すると、唇を少し噛みしめて、
目には涙を浮かべていました。
そう、奥様は悔しさを抱えていたのです。
詳しくは書くことは出来ませんが、
奥様は確かに悔しさを抱えていたのです。
そしてその気持ちと共に、
孤独感も感じていたのです。
そこで、こんな取り組みをしました。
一通り話を聞いた上で、このような提案をしました。
「奥様。旦那様の手を握ってください。」
「これから誘導しますので、その時に悔しかった気持ちなどを、
その手に込めてください。」
「旦那さんはしっかりとその手を握り締めて受け止めてください。」
「奥さんが握るのと同じ位に力強く受け止めてください。」
「はい…。」
奥様が静かに手を握り、
その目には涙を浮かべていました。
旦那様は奥様のことをまっすぐ見つめて、
同じような力でぎゅっと力を入れて、
その痛みを受け止めていました。
奥様の手の力が抜けた時、
旦那様にこのように尋ねました。
「手はいかがでしたでしょうか?」
「痛かったです。こんなにもいたかったのかと思いました。」
「そうです。それが奥様の心の痛みです。」
「奥様は、受け止められていかがでしたか?」
「少し安心して、気持ちが楽になりました。」
僕たちは、一人では乗り越えられない時があります。
誰かに支えてもらう必要がある時があります。
でもその支えてくれる人も、
同じ人間ですから助けが必要がな時があります。
そう、僕たちはお互いに支えあいながら生きているのです。
それを目の前のご夫婦から教わったような気がしました。
どちらが悪いとか、
どちらがいいとか、
支えるとか、
支えられるとか、
そういったものは、相対的なものであって、
互いに行き来しながら、
「助け合っている」のだ。
とそう思うのでした。
著者プロフィール

- 元引きこもりの心理カウンセラー。現在はカウンセリングをしつつ、講師としも、毎週(土)講義を行ってる。目指すは、「記憶に残らないカウンセラー」。カウンセラーのおかげより、自分の力で前に進めた実感を持ってもらうべく、日々奮闘中。理想への道のりはまだまだ長い!
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